2016年4月29日金曜日

4 意思表示の欠缺

大阪の司法書士の伊東弘嗣です。

ようやく、意思表示の瑕疵(かし)・欠缺(けんけつ)の部分です。1000条以上ある民法の100条くらいですから、ようやく1割くらいですね(民法法人の条文が削除されていますので、そう考えるとまだ1割にも満たない。)。

<意思表示>
・動機→効果意思→表示意思→表示行為
・効果意思→表示意思→表示行為を意思表示という。
・意思主義と表示主義
 効果意思、表示意思を優先するか、表示行為を優先するか。
<心裡留保(93)>
・原則有効(表示主義)、相手方悪意有過失無効
・身分行為には適用なし(最判昭23・12・23)。←取引の安全を考える必要なし。
・代理人の権限濫用に93但類推適用(任意代理につき最判昭42・4・20、法人につき最判昭38・9・5、法定代理人につき最判平4・12・10)。
<虚偽表示(94)>
・原則無効(意思主義)、善意の第三者に対抗できない。
・権利外観(表見)法理…虚偽の外観、本人の帰責性、相手方の信頼
・当事者間では無効のまま←ex.善意の第三者が抵当権設定者の場合の所有権の所在につき実益あり。
・第三者が利害関係人となった時点に善意であれば、後に悪意となっても保護される(最判昭55・9・11)
・登記がなくても対抗できる(最判昭44・5・27)
・第三者…当事者又はその包括承継人以外の者であって、新たな独立の法律上の利害関係を有するに至った者(金銭の授受のない仮想貸金債権を譲り受けた第三者も消費貸借契約自体要物契約であり成立しているものではないが94Ⅱの趣旨から保護されるであろう(私見)。)
・悪意の転得者は絶対的構成で保護される(大判昭6・10・24)
・身分行為には適用なし。
・94Ⅱ類推適用
<錯誤(95)>
・効果意思と表示行為の不一致
・内容の錯誤(効果意思と表示意思の不一致)と表示行為の錯誤(表示意思と表示行為の不一致)
・原則無効(意思主義)、但し、①要素の錯誤(その錯誤がなければ通常人もそのような意思表示をしなかったであろうという重要な点での思い違い(大判大7・10・3))であること、②重過失(普通にすべき注意を著しく欠いている(大判大6・11・8))ないこと
・重過失ある場合であっても、相手方が悪意(大判大10・6・7)、相手方の詐欺(判例)による場合は無効
・無効の場合であっても表意者に過失あれば損害賠償請求される(契約締結上の過失又は民709を根拠)。
・表意者のみが無効主張しうる(相対的無効説)。もっとも、二重の錯誤の場合、表意者自身が錯誤を認めており、債権保全の必要性があれば、第三者の無効主張認める(最判昭45・3・26)。←債権者代位構成では保全の必要性さえあれば無効主張しうることになる。
・無効主張しうる範囲…一部無効も認められる(最判昭54・9・6)。
・善意の第三者は保護されない(大判昭17・9・30)
・動機の錯誤(動機と効果意思の不一致)…相手方に明示・黙示に表示されている場合、意思表示の内容となり、要素の錯誤であれば無効主張しうる(最判昭29・11・26)。
・身分行為には適用なし。但し、人違いの場合重過失あっても無効主張しうる。
・和解契約(695)の直接の目的となった法律行為について錯誤無効を主張できない(和解の確定効696)。和解の前提として争わなかった事実については争いあり(無効主張を
認める最判昭33.6.14、無効主張を認めない最判昭28・5・7)。

〒561-0829
大阪府豊中市千成町三丁目9番1号
村尾マンション1F
伊東司法書士事務所
司法書士 伊東 弘嗣
電話06-6398-9083

2016年4月20日水曜日

契約の分類

大阪の司法書士の伊東弘嗣です。

これは基本のきですね。契約の各論の前にまた見直しましょう。

<契約の分類>
・諾成契約と要物契約
諾成契約…意思表示の合致のみ
要物契約…意思表示の合致に加え、物の引渡しが必要。(使用貸借、消費貸借、寄託、代物弁済、質権設定、手付)
・様式契約と不様式契約
様式契約…書面によるなど一定の方式を求められるもの。ex.保証(446Ⅰ)、定期借地
不様式契約…多くの契約
・双務契約と片務契約
双務契約…互いに対価的債務を負担
片務契約…ex.贈与、使用貸借
・有償契約と無償契約
有償契約…互いに対価的出えん(経済的損失)を負担。
無償契約…ex.贈与
・双務有償、片務無償が多いが、例えば、利息付消費貸借は片務有償。


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2016年4月18日月曜日

3 公示による意思表示、意思表示の受領能力

大阪の司法書士の伊東弘嗣です。

今回もマニアックな感じです。
実務で取り扱ったことは今のところありません。

<公示による意思表示>
・相手方を知ることができない又は相手方の所在不明(98Ⅰ)
・公示送達の民事訴訟法の規定に従い、裁判所の掲示板に掲示し、少なくとも一回官報公告(98Ⅱ)。裁判所が相当と認める場合、官報公告に代え市区町村町役場これに準ずる施設の掲示に変えることができる(98Ⅱ但)。
最後に官報に掲載した日又は官報に代えた掲示を始めた日から2週間で相手方に到達したものとみなす(98Ⅲ)。表意者に過失ある場合は無効(98Ⅲ但)。

<意思表示の受領能力>
未成年者・成年被後見人は意思表示の受領能力なし(98の2本文)。
未成年者・成年被後見人の法定代理人が知ったときは、意思表示の到達を主張できる(98の2但)

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2016年4月15日金曜日

2 契約の成立(意思表示の到達)

大阪の司法書士の伊東弘嗣です。

さあ、どんどん行きましょう。

<契約の成立>
・申込と承諾の意思表示の合致により契約は成立する。
<隔地者に対する意思表示>
・隔地者に対する意思表示の効力発生時期…意思表示の到達時(97Ⅰ、到達主義)
・了知されていなくても支配圏内に置かれることで足りる(最判昭43・12・17)
・遺留分減殺請求につき、内容証明郵便が受取人不在のため留置期間満了し差出人に返送された場合にも到達を認めた事例あり(最判平10・6・11)
・発送後到達前なら撤回可能(撤回の意思表示が以前着の必要あり。)
・例外的に発信主義…隔地者間の契約の成立時期は承諾通知の発信時(に遡る)(526Ⅰ)、制限行為能力者の相手方の催告に対する確答(20Ⅰ)
・隔地者に対する意思表示発信後の死亡・行為能力喪失…効力を妨げない(97Ⅱ)
・契約の申込につき①申込者が97Ⅱと反対の意思表示をした場合、②申込到達前に相手方が申込者の死亡又は行為能力喪失を知っていた場合、97Ⅱは適用されない。(525。なお、承諾については同様の規定なし。)
<契約申込の拘束力>
・隔地者間で承諾期間を定めた申込…その期間内は申込みを撤回できない(521Ⅰ)。もっとも、申込到達前(つまり申込の効力発生前)に撤回通知が届けば撤回の効力生じる。承諾期間経過後は申込は当然に効力を失う(521Ⅱ)。
・隔地者間で承諾期間の定めのない場合の申込…承諾を受けるのに相当な期間は撤回不可(524)。相当期間経過後、承諾の「発信」前に申込撤回の通知が到達しないと承諾により契約は成立する(526Ⅰ)。
<承諾のできる期間>
・承諾期間の定めあり…承諾期間内に承諾通知が「到達」しないと申込は効力を失う(521Ⅱ、期間内に到達すれば、承諾の意思表示の発信時に契約が成立する(526Ⅰ))。
・承諾期間の定めなし…申込の撤回ができる時(524)からさらに相当期間経過後に申込は効力を失う(多数説)。
・変更を加えた承諾…申込拒絶と新たな申込(528)
・遅延した承諾の効力…最初の申込は効力を失う(521Ⅱ)が、新たな申込とみなすことができる(523)。なお、その期間内に到達すべき時期に発送したものであることを知ることができるときは遅滞なく延着通知しなければならない(522Ⅰ)し、この通知を怠れば期間内到達とみなされる(522Ⅱ)。

2016年4月10日日曜日

1 意思能力・行為能力

<意思能力・行為能力>
意思能力…法律行為の結果を弁識するだけに足りる能力
意思能力がないもののなした行為は無効(大判明38・5・11)←私的自治の原則(契約は成立しているが無効)
行為能力…法律行為の効果を確定的に帰属させる能力
制限行為能力者のなした行為は取り消すまでは有効(121)
制限行為能力者…未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人
<未成年者>
法定代理人…親権者(824)、未成年後見人(838①)
法定代理人の同意(5Ⅰ)…同意は未成年者でも相手方でもOK,明示でも黙示でもOK
同意のない法律行為の取消(121)→遡及的に無効
同意のない法律行為の取消権者の追認(122)→確定的に有効
取消権者…本人、代理人、承継人、同意をすることができる者(120Ⅰ)
追認権者も同上(122)
取消・追認は相手方に対してのみ(123)
制限行為能力者の取消には同意不要。追認には同意必要(通説?)
同意を要さない行為…①単に権利を得又は義務を免れる法律行為(5Ⅰ但)、②処分を許された財産の処分(5Ⅲ、目的を定めている場合はその目的の範囲内)、③許可された営業に関する行為(6Ⅰ、営業の登記(商5))
成年擬制(753)
<後見制度>
未成年後見と成年後見
成年後見には法定後見と任意後見があり、法定後見には後見、保佐、補助の3類型がある。
法定後見は未成年者も対象となる
請求権者…本人、配偶者、四親等内の親族その他
<成年被後見人>
事理弁識能力を欠く常況にある者(7)
要件該当すれば必ず審判(大判大11・8・4、審判をすることができる(7))
職権で成年後見人が付される(8、843Ⅰ)
成年後見人は財産に関する法定代理人(859Ⅰ)
成年被後見人の法律行為は取り消せる(9)、但し、日用品の購入その他日常生活に関する行為(9但)。
審判の取消…①後見開始の原因が消滅したとき(10)、②保佐・補助開始の審判をするとき(19Ⅱ)、③家裁が任意後見監督人を選任するとき(任意後見契約法4Ⅱ)
<被保佐人>
事理弁識能力が著しく不十分(11)
要件該当すれば必ず審判されるかは争いあり
職権で保佐人が付される(12、876の2Ⅰ)
同意の対象(13Ⅰ)…元・借・不・訴・贈・相・贈・新・借
同意の対象の拡張の審判(13Ⅱ)、但し、日用品の購入その他日常生活に関する行為(13Ⅱ但・9但)
同意の対象を13Ⅰから縮小は不可→補助で足りる。
同意に代わる許可の裁判(13Ⅲ)
同意又は同意に代わる許可を得ない行為は取り消せる(13Ⅳ)
請求による代理権付与の審判(876の4Ⅰ)…本人以外からの審判請求には本人の同意必要(876の4Ⅱ)
代理権の範囲に制限なし、特定の法律行為(876の4Ⅰ)。
<被補助人>
事理弁識能力が不十分(15Ⅰ)
補助開始の審判には本人の同意が必要(15Ⅱ)
職権で補助人が付される(16、876の7Ⅰ)
請求による同意権・代理権付与の審判(17Ⅰ、876の9Ⅰ)…本人以外からの審判請求には本人の同意必要(17Ⅱ、876の9Ⅱ・876の4Ⅱ)…補助開始の審判と同時(15Ⅲ)。但し、どちらか一方の権限が先に付与されていればもう一方は後から付与も可。
同意に代わる許可の裁判(17Ⅲ)
同意又は同意に代わる許可を得ない行為は取り消せる(17Ⅳ)
同意権の範囲は13Ⅰの範囲内の特定の法律行為(17Ⅰ)。
代理権の範囲は制限なし。特定の法律行為(876の9Ⅰ)。
代理権のみの補助人には取消権・追認権なし。
代理権付与、同意権の付与なしの場合は、被補助人は制限行為能力者ではないが法定代理人が存在するという状態になる。
<相手方の催告権(20)>
催告の相手方には受領能力(相手方の意思表示の内容を理解する能力)必要…未成年者、成年被後見人には受領能力なし(20Ⅳ)
一か月以上の期間が必要(20Ⅰ)
行為能力者となった者(20Ⅰ)、法定代理人、補助人、保佐人(20Ⅱ)が確答しない場合は追認みなし。
特別の方式(20Ⅲ)=後見監督人がいる場合は取消みなし。
被保佐人、被補助人に対する催告も有効だが、確答しない場合は取消しみなし(20Ⅳ)。
<制限能力者の詐術(21)>
全ての取消権者の取消権を排除
第三者の詐術は対象外→取り消しうる。
詐術と誤信との間に因果関係必要(大判昭2.5.24)
詐術を用いても相手方が誤信しなければ取り消しうる(通説?)。
単なる黙秘は詐術ではないが、他の言動と相俟って相手方を誤信させ、又は誤信を強めたと認められる場合は詐術に当たる(最判昭44.2.13)。
<法人>
社団法人と財団法人
営利法人と非営利法人
旧民法法人→一般社団法人、一般財団法人(一般社団法人法)
法人の不法行為能力(法人実在説、法人擬制説)
権利能力なき社団

2016年4月7日木曜日

不在者制度と失踪宣告制度

司法書士の伊東です。

では、民法の復習を続けます。

<不在者財産管理人>
・法定代理人がいる場合→法定代理人が財産管理人(親権者につき824、(未成年)後見人につき859条)
・不在者自ら管理人を置いている場合→当該管理人(25)
・上記以外の場合→裁判所の選任した者(25)←利害関係人又は検察官の請求による
管理人の権限
・権限の定めのない場合は103条の範囲
・権限外行為には裁判所の許可
<失踪宣告制度>
・普通失踪と特別失踪
・普通失踪の失踪期間7年、死亡みなしは期間満了日
・特別失踪の失踪期間1年、死亡みなしは危難の去った時
・利害関係人に債権者は含まれない←不在者財産管理人の選任で足りる
・検察官は請求権者に含まれない
・死亡したものとみなされる→効果を覆すには家裁の失踪宣告取消の審判
・本人の権利能力が失われるわけではない
・取消事由は、本人の生存、死亡認定時期と異なる時期の死亡(32Ⅰ)、起算点以後のある時期に生存
・取消により宣告は初めから無かったことになる。
・直接利益を得たものは取消により現存利益の返還(32Ⅱ但)善意者のみ(通説←32Ⅱ但は不当利得))。
・善意でなした行為には影響しない(双方善意(判例・通説))。
・転得者の地位は絶対的構成(通説)で悪意でも保護される。
・双方善意の場合、前婚は復活しない(通説)が、それ以外の場合は、前婚の離婚原因(770⑤、継続しがたい重大事由)、後婚の取消原因(744Ⅰ・732、重婚)

今さらに考えると、失踪宣告の最判もなく通説だけの論点は、絵空事だなぁと思います。

権利能力

大阪の司法書士の伊東弘嗣です。

さて、民法の復習です。

権利能力…権利・義務の帰属主体となりうる地位・資格。自然人と法人が有する。
権利能力の始期…自然人であれば出生の時から、法人であれば設立登記の時から。
胎児の権利能力…原則否定。例外は①損害賠償請求②相続③遺贈。としても停止条件説(判例)、解除条件説(登記実務)
権利能力の終期…自然人→死亡、法人→清算決了時
同時死亡の推定(32の2)
・父子が同時死亡の場合、子は父の相続人にならない(887Ⅱ「以前に死亡」の場合に代襲する)。
 
ということですが、どんな場面で胎児名義の相続登記をするのか、想像が付きません。
また、相続関係調査の際、胎児の相続を考えておかないといけない場面も想像できません。
ま、でも普段気にしてなかった論点なのでメモメモ✏

民法編

大阪の司法書士の伊東です。

さて、民法改正もあることですし、民法編も分離しました。